私は97%ばかり見て3%を見ようとしなかった

NIPT陰性で安心していた妊婦がスマホで情報収集しているイラスト 妊娠・出産
NIPT陰性で安心していた妊婦がスマホで情報収集しているイラスト

私は情報収集をしていたつもりだった

妊娠10週の健診で、私は初めて「NT(=Nuchal Translucency、首の後ろのむくみ)」という言葉を聞きました。

不育症クリニックでの診察でした。
先生はいつもより神妙な表情で、
「まだ判定時期には早いのですが、エコーで胎児の首の後ろにむくみが見えました」
「これは染色体異常や形態異常、遺伝子疾患がある場合に見られることがあるものです」
「妊娠11週〜13週に、NT測定を受けてください」

と話しました。

当時の私は、不育症治療を受けながら、ようやくここまで妊娠を継続できていました。
流産を2回経験し、「今度こそ赤ちゃんを抱きたい」という思いでいっぱいでした。
だからその言葉を聞いた瞬間、いきなり天国から地獄へ突き落とされるような不安に襲われました。

我が子のNT数値は、「正常範囲内」だった

不育症クリニックの先生の言う通り、翌週の妊娠11週に以前の妊娠でもお世話になったレディースクリニックでNTを測定していただきました。

我が子のNT値は2.7mmでした。
当時の体長(CRL)は約76mm。

医師からは、
「平均よりはやや高いものの異常値ではありません」
と説明を受けました。
また、この時点では染色体異常や遺伝子異常を持たずに出生する可能性は97%程度と説明されました。

私はその説明を聞いて、とても安心しました。
しかし今振り返ると、その時の私は「97%」という数字ばかり見ていたのだと思います。

もちろん、97%という数字そのものが間違っていたわけではありません。
実際には、NT肥厚があっても健康に生まれる子どもはたくさんいます。
ただ当時の私は、その数字をどう受け止めるかという視点が欠けていました。

私が検索したのは「事実」ではなく「安心」だった

帰宅後、私はひたすら検索しました。
「NT異常 確率」
「NT肥厚 ブログ」
「NT 厚くても大丈夫だった」
「NT 厚くても健康に生まれた」
私の検索欄はNT関連のキーワードでいっぱいになりました。

今振り返ると、私はそうやって情報収集をしていたつもりでした。
でも本当は違いました。
私は安心を探していたのです。

「大丈夫だった人」
「元気な赤ちゃんを産んだ人」
ふと気付けば、そんな体験談ばかり読んでいました。

続くNIPTも陰性、健康な子が生まれると思っていた

NT計測後、NIPT(出生前診断)も行い、結果は陰性。
その瞬間の安堵感は今でも覚えています。

そのレディースクリニックの先生は、大前提に医学的なデータに基づきながらですが、いつも優しくポジティブに声がけしてくれました。NIPTの結果を見た時も、
「もう大丈夫だね、安心してください」
とも言ってくれました。

「よかった、これでひと安心だ」
「健康な子が生まれるんだ」
私は本気でそう思っていました。

不育症クリニックの先生がとても慎重に説明してくださったことさえ、
「なんだ、そこまで心配しなくてもよかったんだな」
くらいに受け止めていました。

私は97%ばかり見ていた

今振り返ると、私は97%ばかり見ていました。

NT肥厚があっても健康に生まれる子どもはいます。
NIPT陰性で問題なく生まれる子どももいます。
私はその可能性ばかり見ていました。

一方で、
NIPTでは分からない疾患。
染色体異常以外の病気。
重い障害が残る可能性。

そういった情報には目を向けませんでした。
正確に言うと、目を向けられませんでした。
直視するのが怖かったし、もうこれ以上子どもを失いたくないと思ったからです。

それでも当時の自分を責められない

今の私は、子どもの希少疾患が分かり、医療的ケア児として育児をしています。

だからこそ、
「あの時もっと調べるべきだった」
「セカンドオピニオンを受けておけば」

と思うこともありました。

でも同時に、あの時の自分を責める気にもなれません。
流産を2回経験し、やっと11週まで来た妊娠でした。
私はただ、希望を持ちたかったのです。

今なら当時の自分に伝えたいこと

もし妊娠11週の自分に会えるなら、こう伝えると思います。
「欲しい答えを探すための情報収集ではなく、判断するための情報収集をしてほしい」

良い可能性だけでなく、悪い可能性も。
その確率も。
その後の長い人生も。
目を背けずに見てほしい。

その上で選んだ答えなら、きっと後悔は少なくなるからです。

今、検索しているあなたへ

この記事を読んでいる方の中には、今日NT肥厚を指摘された方もいるかもしれません。
私と同じように、「大丈夫だった人」の体験談を探している方もいると思います。

それは決して悪いことではありません。
誰だって赤ちゃんに健康に産まれてきてほしいし、とてつもなく不安だからです。

ただ、もし少しだけ余裕があるなら、
良い可能性だけでなく、そうではない可能性にも目を向けてみてください。

その情報は、あなたを不安にするものではありません。
あなた自身が納得して未来を選ぶための材料になるはずです。

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